フランスフェア / 阪神百貨店建て替えプロジェクト / 中国の寧波への出店

PROJECT STORY

阪神百貨店
建て替え
プロジェクト

阪急阪神百貨店では、今、阪神梅田本店をグループのハブ拠点の一つとして、広いエリアからお客様を引き付ける、魅力あるフラッグシップ店舗へと再構築するための建て替え工事プロジェクトが進行している。
日々変貌を遂げる、多様化するニーズに向け、新たなる百貨店をいかに創造していくか。
その「答えなき答え」に挑戦する社員のこれまでを追った。

阪急阪神百貨店では、今、阪神梅田本店をグループのハブ拠点の一つとして、広いエリアからお客様を引き付ける、魅力あるフラッグシップ店舗へと再構築するための建て替え工事プロジェクトが進行している。
日々変貌を遂げる、多様化するニーズに向け、新たなる百貨店をいかに創造していくか。
その「答えなき答え」に挑戦する社員のこれまでを追った。

鈴木 健三
第2店舗グループ
マーケティング2部 部長
鈴木 健三

1998年入社。阪急うめだ本店の婦人服を担当後、商品部のバイヤーに。婦人服を長年担当してきた。商品部の部長を経て、現職。熱烈なタイガースファンで、阪急愛とともに猛虎愛も相当のもの。学生時代は様々な国を旅することが趣味で、多様な文化に触れたという。

ある日、突然、訪れた新たなキャリアへの一歩

ある日、突然、
訪れた新たな
キャリアへの一歩

それは、入社以来一番長かったバイヤー時代を含め、商品部でのキャリアを重ねてきた鈴木に、新たなミッションが与えられた瞬間であった。阪神百貨店の中長期的な将来像を展望し、計画を立案する店舗グループ内に新設されたマーケティング2部に異動が決まったのだ。
「お客様のニーズを見据え、今後の百貨店のあるべき姿を将来にわたって構想するマーケティング2部という部署が発足したのは知っていたのですが、まさか私がその部署の部長になるとは思っていませんでした」。
さらに驚いたのは、配属先が、建て替え工事が進んでいる阪神梅田本店の今後の店舗計画・立案をする部署だったということだ。
「大規模なリニューアルが進む梅田本店の将来ビジョンを描き出すという重責に、正直、戸惑いましたね」。
戸惑いは配属後、しばらくは続いたと鈴木は当時を振り返る。誰一人経験したことのない新しい部署で、全くゼロの状況の中、レールを敷くところから始めなければならなかった。

新たな百貨店像を導き出すコンセプトづくり

新たな百貨店像を
導き出すコンセプトづくり

阪神梅田本店建て替え工事は、2018年春の第Ⅰ期オープン、2021年のグランドオープンに向け着々と建て替え工事が続いている。その中で、鈴木が果たす役割は、グランドオープンに向けた構想立案とⅠ期オープンに向けた店舗計画立案だった。
「建物は一度建て替えると、100年は持つと言われています。そうしたハード面も考慮しながら、グランドオープンに向け、どのようなストアコンセプトを導き出していくかが問われました」。
今後の100年を見据えながら、中長期的な方向性を見出し、新たなコンセプトを具体化していくという難題であった。
会議では様々なアイデアが飛び交った。およそ実現不可能と思われる突拍子もないアイデアや、求められる価格帯、商品について等々、あらゆる側面から、多種多様な意見が交わされた。その中で、鈴木は「物事の本質」を確かめるため、まず基本に立ち返ることにした。
「阪神百貨店らしさとは何か。阪神百貨店が将来にわたって提供しえる価値とは何かを徹底的に考えることから始めました」。
阪神百貨店らしさとは何かと問われれば、様々な意見が出るが、端的に言うと、「食」に強いということ、身近で親しみやすい百貨店であるということが挙げられる。そうした阪神百貨店らしさを残しつつ、お客様に驚きと感動を与える画期的な新しいストアコンセプトを導かなければ意味がない。そのためには、価格や品揃え、仕掛けを考えるよりも前に、もっと本質に迫る概念が必要だと考えた。
鈴木はある結論に至る。
「お客様の阪神百貨店へのご期待に応えるには、まず我々が率先して変わらなければならないと考えました」。
それは、社内にあった先入観ともいえるべきものだった。阪神百貨店を「こうだったから」という経験値に基づいた捉え方ではなく、発想を転換することで、都心型店舗だからこそ可能な新たな価値創造空間として捉え直す必要があると考えた。そこには、同社である阪急百貨店が提供する価値とはまた別の角度から検証することも必要であった。阪神百貨店だからこそ提供できる価値、新たな百貨店像が求められた。
阪神・阪急それぞれの個性を生かすからこそできる価値創造を考え、それを実現するのがお客様の日々の喜びにつながると考えた鈴木は、社内のプロジェクトメンバーにその意図を伝え、議論を深めていった。様々な意見や案が飛び交った。
そして、多大なる時間を費やし、ようやく「やはり、これかもしれない」と大まかなストアコンセプトを見えるようになるまでになった。後は、確証を得ることが必要だった。

オープンで自由な雰囲気あふれるポートランドの地で得たヒント

オープンで自由な
雰囲気あふれるポートランドの
地で得たヒント

まだ柔らかな日差しが降り注ぐ、爽やかな初夏のある日。鈴木は、アメリカ北西部オレゴン州にあるポートランド国際空港に降り立った。阪神梅田本店のストアコンセプト立案の参考になるライフスタイルを実感するため、担当メンバーとともにこの地にやってきたのだ。そこで、鈴木は大きな発見をする。「ポートランドは、地ビールやコーヒーが有名で、様々な醸造所や製造所が点在しています。そうした小規模ながらも『こだわり』を持った作り手のもとを何件も回りました」。
納得のいくモノづくり、その製造工程に至るまで、現地の人々は何一つ包み隠さず、オープンに話してくれた。別の訪問先では、風合いを出すために欠かせない、およそ150年以上前に造られた印刷機を見せてくれた。古いものをリノベーションすることで生まれる、自分たちが納得できるモノづくり、その精神、全てのものが新しく映った。鈴木は言う。
「ポートランドには、たくさんのヒントがありました。色々と考えさせられましたね」。
自然との共存、人と環境への配慮、スローライフ、アート、DIY、地元の人々に愛されるローカライズな商品たち。現地のライフスタイル、その一つひとつが軽やかな風とともに鈴木の胸に染み込んできた。そこには、ネットワークを広げて、もっと自分たちの暮らしを良くするには何をすれば良いのかを考えるカルチャーがあった。「共存」、「共有」、「共栄」。これからの消費社会の変貌から垣間見える未来に向けた言葉が、そこには込められているかのようだった。

阪神百貨店の未来を具現化するため前進する

阪神百貨店の未来を
具現化するため前進する

ポートランドから帰った鈴木は、ある確証を得たと自分自身に問いかけていた。それは、激変するマーケットの中で、100年先まで持続可能なストアコンセプトとして『健康』や『ウェルネス』といった「新たな価値」を盛り込もうと検討している。そのようなストアコンセプトを踏まえつつ、多くの関係者や取引先とパートナーシップを持ち「新たな価値」を共有することで、「新たな提案」を次々と実現していくことだった。持続可能な社会の構築、価値観の共有など、ポートランドで感じ得たヒントを、鈴木自身が、咀嚼し深めようと考えた結果だ。
「現在、Ⅰ期オープンに向け、様々な特色を持った取引先と交渉にあたっています。積極的に新たな事業を立ち上げている取引先と話をしていると、ついつい盛り上がってしまいますね」。
2018年のオープンに向け着々と準備は進んでいる。そして、グランドオープンに向けた具体的な計画もスタートしようとしている。
新たな価値提案に向けた百貨店像づくりは、まだ道半ばだ。しかし、今これを読んでいる皆さんが阪急阪神百貨店に入社する頃には、鈴木らの描いたストアコンセプトが現実のものとなっているだろう。阪急阪神百貨店の未来を担う若者たちとともに、その日がくることが今から楽しみだ。